フランス革命の道12-ラファイエット再出発

1779年2月、アメリカに志願したラファイエットが帰国し、大歓迎を受けた。パリっ子達は、オペラや芝居や詩でしか見なかった騎士道の英雄を間近で見たのである。そして司令官ワシントンは、聖王ルイのような使命のために生きる英雄に見立てられ、外交官フランクリンの雷の逸話は、イギリスを撃つ電光とされた。

「彼は天から火を暴君から王笏をもぎとった」ともてはやされたが、この言葉の危うさは、後日わかることになる。当時の世論は簡単に英雄や暴君をつくりあげれたのである。リシュリューのような敏感な宰相が居れば、これをコントロールできたかもしれないのだが。

アントワネットもラファイエットをとりなしたらしい。ラファイエットはフランス軍をアメリカに送るため尽力し、80年3月ロシャンボー中将の率いる8千の仏軍と再びアメリカに行く。しかしこれはアントワネットにも影響した。あの愛しのフェルゼン様が、王妃の安全のためにアメリカに志願したのである。

この行為での警告が効いたのか、アントワネットは豪奢なファッションを変えて、つつましいファッションを身につける。そしてポリニャック夫人ら少人数のとりまき達とプチトリアノン宮で過ごす。王妃はポリニャック一族を出世させ、彼女の長女を大貴族に嫁がせて巨額の婚資を与えた。これは嫉妬を呼ばぬはずはない。

下はパリの合衆国広場のラファイエットとワシントン像

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。