フランス革命の道11-アントワネットの画家

アントワネットが無事初子を出産する頃、また意中の女性芸術家に巡り合う。アントワネットの画家として後世有名になる女流画家ルブラン夫人こと、エリザベート=ルイーズ・ビジェ=ルブランである。彼女は画商の娘として絵画を習ったが、早くに父を亡くしたため、家族のために絵を描いていた。

アントワネットとルブランと宮廷画家以上の友人となった。ルブランの得意は、美しい絹サテンの襞であるが、それだけともいえない。ルブランは、当時の女性の衣装を最悪と思っていた。彼女は自立した女性であり、男性の道具ではない、そのままの女性を描こうとした。

母となりアントワネットのファッション志向も変わってきた。私的御殿プチ・トリアノンで、家畜などに囲まれた田園生活を営んだ。喧噪のパリでの観劇も控えるようになる。ルブランも子供達と共に落ち着いた王妃を描くようになる。

1783年ルブランはアカデミー会員になったときに「シュミーズドレスを着たマリー・アントワネット」を描く。この絵は、当時流行していたモスリンのドレスを着て、アントワネット本人を描こうとした。ところがこの絵は王妃の品性を汚すとして撤去されたのである。豪華な衣装を着ると贅沢と言われ、庶民の衣装を着ると下品と言われる。アントワネットの虚像とのズレは修正できず悲劇へすすむ。

下左はシュミーズドレスを着たマリー・アントワネット右はルブラン自画像


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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。