アマデウスの旅8-ヴェルサイユのオルガニスト?

パリはまるで変っていた。「アンビリーバボー!」とかお世辞を言うだけ、礼儀も知らず不快なほどうぬぼれが強い、とアマデウスは父に書く。そして彼はフランス用の器楽協奏曲を書くのだが、それが紛失されてしまい、結局演奏されず、未だに幻の名曲となっている。アマデウスは、ライバルの邪魔が入ったと思う。

しかし何とヴェルサイユのオルガニストの職の斡旋もあったらしいのだが、アマデウスは乗り気ではなかった。もし、彼がヴェルサイユに居たらどうなっただろうか?その後のフランス革命で彼の曲が変わったかもしれないし、もしかするとアントワネットと共に断頭台に消えたかもしれない。

そんな中で1778年6月18日交響曲31番「パリ」が初演され、大好評を取った。この曲は、物見高いパリの聴衆に向けて、大編成で、ダイナミックな部分や、いかにもパリらしい華麗でオシャレなフレーズも合わさった傑作となった。アマデウスとしては珍しく推敲を重ねて書いた。

しかし、一緒に来ていた母にかまっておられず、パリの水があわなかったのか、7月3日に病気で亡くなってしまうのだ。そして残念ながらアマデウスは当時のパリに合わない。世話していたグリム男爵は「あまりにも人を信じやすく、騙されやすく、立身出世の方策に無関心」と父へ手紙を書いている。

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。