大王対女帝28-じゃがいも戦争

1778年7月、プロイセンはまたもやボヘミアに侵攻した。ザクセン公国はプロイセンに味方し、ケーニヒグレーツを包囲してにらみ合いになる。そして双方とも、相手の糧食確保を邪魔するためにじゃがいも畑を荒らしたので「じゃがいも戦争」と言われた。農民はいい迷惑である。

そして、ロシアのエカチェリーナ2世が、この戦争を終わらすため、ポーランドの墺領国境に軍を展開して、戦争をやめねば、墺領に侵攻するぞ、との構えを見せた。そこで女帝マリア・テレジアは、息子の頭ごしに、仇敵大王に手紙を書いて和平交渉を行うのである。

さらに女帝は、ルイ16世にバイエルンを返還するからと、和平の仲介を願う手紙をこれまた息子の頭越しに送り、フランスとロシアが仲介者として和平交渉が行われた。オーストリアは、バイエルンの若干の領土を得るだけで、撤退せざるを得なくなったのである。

プロイセンは、アインスバッハとバイロイトを将来併合することが認められ、利益を得て地位を高めた。ヨーゼフ2世は、軍を動かした割にあまり利益が得られず、信用は落ちた。仏王夫妻は、なんとか戦争を回避してほっとしたが、仏墺関係は、ギクシャクし始める。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。