フランス革命の道9-ネッケルの改革

スイス人ネッケルはカルヴァン教徒らしく、節約と宮廷の簡素化をすすめた。しかし彼がやったのはそれだけではない、公債を発行したのだ。これは自由主義的な重農主義者の嫌うところだった。しかし増税を嫌う国王ルイ16世の気にはいった。彼は楽観主義者で、経済が好調になれば、利子の返済はできるだろう。

そして公債を売るために、終身年金公債のような特権もつけて販売した。外国でも売られて、オランダやスイスではおおいに売れた。しかしこれはフランスの経済が落ち込み、危機に陥ったときに、絶対主義が嫌いな外国の銀行団の意向に左右されることになってしまう。

しかしこのときは、何と5億3000リーブルを公債で調達したのである。このうち2億リーブルが向こう5年間の財政赤字返済に使われ、3億3000リーブルがアメリカ独立戦争向けに使われた。「ネッケルは増税なしに戦争をする」と称えられた。何よりも高等法院の言うことをきかずに済む。

ネッケルと王はさらに人道主義的措置を行い、救貧院の増設、病院の改良、監獄の改革、拷問の廃止を行った。パリの中でも不衛生な2つの監獄が取り壊され、実はバスティーユ監獄も1784年に取り壊しが決まり、後の広場には「民衆の自由の復興者ルイ16世」と記念碑が建つはずだった。

下はネッケルの風刺画。国王が金はどこかと尋ねるとその箱の中にあったんですがと答えるネッケル。その後ろで特権階級が金を持ち出している

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キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。