アメリカ人は本国と戦争したものの、第二回大陸会議のメンバーでも独立しようという者は半数に満たなかった。会議は国王ジョージ3世との和解を提案したが拒絶された。その状況を変えたのは「コモンセンス」という一冊の本である。書いたのはアメリカ人となったばかりのトマス・ペインという男。
彼は、アメリカ人なら誰もが信じる聖書の権威を借りた。旧約聖書民数記、そこには確かに神は王政を望んでいなかったことが書かれている。ユダヤ人が、異邦人の真似をして王が欲しいというからそうしたのだ。何と神は共和主義者だった。そしてこのまま居ても本国に利益をすすられるだけで、旧世界の戦争にまきこまれるばかりである。
1776年1月に発刊されたこの小冊子は1部2シリングで、3カ月で12万部を売りきり大ベストセラーとなった。さらにボストンの戦争でも動きがある。ボストンを見下ろすトーチェスター高地に、最高司令官ワシントンの命令で冬季3カ月かけて総量60トンに及ぶ大砲その他の武器が運びあげられた。
本国軍は、この高地を奪回しようとするが、冬の嵐に阻まれて思うにまかせず、3月17日に遂に撤退し、ボストンから船で出航した。この勝利で、独立派が優位となり、アメリカは独立に向かうのである。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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