アマデウスの旅2-ポンパドゥール夫人に謁見

ウィーン滞在は大成功を納め、その中で父レオポルトはさらに大きな計画を立てる、西方大遠征というか、ドイツ諸邦を通ってパリに行こうというのである。その紹介状もウィーンでもらっている、仏墺同盟、外交革命の成果である。まさかアントワネットが後を追うとは知るよしもない。

1763年8月18日、旅の途中でフランクフルトに寄ったアマデウスの演奏を見ていたのが、後の大文豪ゲーテである、このとき14歳。そのの演奏を聴いて「いずれ音楽のダ・ヴィンチになるのでは」と思ったと後日語った。ちなみにこの歳、彼はグレートフェンという娘に失恋し、そのトラウマは「ファウスト」まで残った。

一家は12月にパリに到着し、ザルツブルク出身のバイエルン大使の邸宅に滞在した。父はレーゲンスブルク出身の文化人グリム男爵と親しくなって、彼があちこちに紹介してくれた。グリムは「本当の奇跡を見たと言っている。アマデウスはある婦人の歌った歌に伴奏をつけただけでなく10通りもの変奏をしたのである。

その年のクリスマスイヴ、一家はヴェルサイユで国王ルイ15世に面会した。そして女宰相というべきポンパドゥール夫人にも目通りしたのである。アマデウスは彼女にもキスしようとしたが、ダメで、拗ねた。この頃夫人は心身共に疲れ果て、かろうじて威厳を保っていた。そして夫人は翌年に42歳の生涯を閉じる。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。