大王対女帝25プロイセンのジャガイモ革命

ドイツ料理の定番というべきジャガイモだが、この7年戦争の時期にフリードリヒ大王が命令してプロイセンで栽培させたのは有名な話である。ジャガイモの原産はペルーで、スペイン人が欧州に持ち帰った。ところが芽の毒にあたったりして「悪魔の植物」といわれたこともあるようだ。

当初ジャガイモは貴族の鑑賞用植物だったらしい。しかし品種改良もすすみ、30年戦争のあたりから、寒冷地でも育ち、兵士に踏みつけられても平気なことから、ドイツでジャガイモが食べられるようになった。それに目をつけたのが大王で、即位当初から奨励して試食会までやった。

しかし農民はあまり乗り気がしなかったので、得意の強制命令を出し、空いている畑に植えさせた。その努力があって、ジャガイモはプロイセン中に広がり、7年戦争のプロイセン軍の窮状を救うのにも一役買ったという話である。1778年のバイエルン継承戦争では、普墺の兵士がジャガイモ畑を荒らし合うほどになる。

そして7年戦争で捕虜になったフランスの農学者パルマンティエは、普軍にジャガイモを食べさせられたことをきっかけに、ジャガイモをルイ16世のもとで普及していく。以来ジャガイモはヨーロッパ北部で、「貧者のパン」と呼ばれるほど普及していった。

下はジャガイモ畑を見張るフリードリヒ2世

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キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。