さて、7年戦争と同時に、カトリックでも大きな動きが起きていた。カトリック再興にたいへんな力のあったイエズス会の弾圧である。ことの起こりは、1759年のポルトガルで、ジョゼ1世のもとで独裁権を握ったポンバル侯爵カルヴァリーリが大きな富と力を持っていたイエズス会を疎んだのだ。
そしてフランスでは、55年にイエズス会の債務支払いの積み荷を積んだ船がイギリスに拿捕された。マルセイユの債権者達はイエズス会に債務支払いの訴訟を起こし、それを審議した高等法院が、かねてからイエズス会は国家によろしからず、として追放を決め、スペインにも広がった。
イエズス会の弱点は、やはり日本布教の失敗にあった。さらに東洋布教において、イエズス会は祖先崇拝の習慣を禁止しなかったが、その他の会はこれを問題視して論争となり、結局クレメンス11世が、回勅でこれを禁止した。中国への布教はこれで頓挫してしまうのだ。
イエズス会は、王権の贅沢を批判して子弟に道徳教育をして王権と対立した。東洋布教に失敗した会はその独占に妬みを買っており。その圧力で何と教皇クレメンス14世は回勅で、イエズス会を禁止する。しかしロシアはイエズス会を保護し、他国でも非公然で会は存族した。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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