啓蒙の光16-啓蒙大全ー百科全書出版

1751年、パリで「百科全書」が最初に発刊された。今で言う百科事典である。もともとこの企画は、イギリスで28年に発刊された「百科事典」を翻訳して発刊しようということだった。ところが編集長になったディドロは自分達でもっと総合的なものを作ろうとする。何と執筆者は184人で完成まで20年以上がかかる。

この世の「理り」を総合的に解き明かして記したものは、中世ではトマス・アクィナスの「神学大全」である。しかしその頃から知は比較にならぬほどすすみ、ニュートン力学が生まれ、各方面でも知の沸騰時代だった。

「百科全書」初版の口絵には、光に満ちた「真理の女神」が描かれている。そのまわりで闇は消え去りかけて、女神のヴェールが脱がされようとしている。啓蒙思想は英語で「Enlightenment」と書かれる。まさに理性の光を当てて、すべてを明らかにすることこそ啓蒙なのである。

初版は4250部売れたというから、当時としては大成功である。ポンパドゥール夫人も尽力したらしい。しかし知が万人に開かれると旧来の特権階級の必要はどうなるのか?ディドロは理神論からやがて無神論、唯物論にいきつき、危険思想家として逮捕されている。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。