1748年、現在まで影響を及ぼすモンテスキューの「法の精神」が発表された。当時でも反響は大きく、2年で20以上の版を重ねた。モンテスキューは前述のように、ヨーロッパ諸国を訪問してさまざまな国家と政体を観察している。その各国の法を成立させている原理を考察したのである。
モンテスキューは、法を事物の本性に由来する必然的な関係、とする。これはニュートンの発見した力学法則をかなり意識している。モンテスキューは、ロックのように、人間の自然状態を平和と定義する。しかし社会が不平等をつくり、弱い人間は、その状態によってさまざまな法をつくる。
モンテスキューは、政治を共和政、君主政、専制政の3つに分類する。その分類において、主権者の数と適法性という画期的な方法を示した。そして各々の原理を共和政は「徳」君主政は「名誉」、専制政は「恐怖」としている。
今日、モンテスキューのものと言われる三権分立は、イギリス誠治の分析の中で出てきて、個人の政治的自由の実現のための手段としてである。この権力分立の思想は、アメリカ合衆国憲法やフランス革命に多大な影響を与えた。この書は、検閲を恐れて最初は匿名で出版され、王の支配を専制とし、イギリスの君主政を高く評価するので、51年に発禁処分を受ける。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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