啓蒙の光8-「神即自然」スピノザ

ニュートンやライプニッツのような世界と神の思想の転換は、さらに後世に影響を与えるユニークな思想を生み出す。オランダのレンズ職人バールーフ・デ・スピノザの「神即自然」という汎神論である。彼の両親はポルトガルから迫害を逃れ、オランダにやってきたユダヤ人セファルディムである。

旧約聖書の世界では、神は水や雷を使い人間を罰したり、恵を与える。しかしニュートン力学の世界では、最初の一撃以後、世界は自動運動することになる、神はどこに居るのか?何とスピノザは、その運動する世界の中に神が存在するという。それを聖書研究だけで考えついたのだ。

「内在神」現代科学では、統一場の方程式が案出されているが、それこそが神の存在かもしれない。そして神の観点から見るとすべては必然で、神の計画に沿っていて、偶然はありえない。カルヴァン主義の決定論は、ここで世界的な理論となるわけだ。

ところがこの神は、顔を持たない。神は人間に顔を出すことはないわけだ。そうなると聖職者は要らない。さらに言えば、それは世界の無目的な法則であって、別に神という存在はいらなくなる。スピノザは無神論紙一重といわれ、代表作「エチカ」も死後出版された。

下は肖像と主著エチカ

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