日本宣教55-鎖国と石見銀山

1668年徳川幕府が銀の輸出を停止した。オランダは、出島で西洋としては唯一日本と交易をしていた。その構造は、中国で生糸・絹を仕入れ日本に売って銀を得る。その銀で南インドで綿布を仕入れ香料諸島で胡椒を買って欧州へ持ち帰るというものであった。

日本の銀はどんどん流出していく。しかしそれを支えていた石見銀山の産出量が落ちてくるのである。1652年にパタヴィアの東インド会社に集められた銀は4.3万ポンドそのうちの1.05万ポンドが日本銀で占める。世界通貨の銀でなければ交易はできない。交易は当然落ちていく。

日本の鎖国はキリスト教の流入阻止が原因だったが、こうした経済上の問題もあった。日本の国内産業や文化も、グローバルな流入についていけなかったのである。そこで自由貿易を管理貿易に切り替えた。これは現在でもアメリカのトランプ政権がやっている。

日蘭貿易は、日本からは陶器や漆器の輸出に変わり、欧州宮廷でブームを起こす。また徳川吉宗は生糸生産を奨励し、中国絹に負けない品質になってゆく。ところが鎖国体制は祖法として定着してしまった。オランダもなるべく世界の進歩を見せないようにした。幕末にやってきたシーボルトは、出島のオランダ人の旧世紀ファッションに驚いたという。

下は世界遺産石見銀山の坑道

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。