バロックの時代23-レンブラント破産

レンブラントは、ますます絵画芸術にのめりこみ、顧客達は遠ざかって、無難な肖像画を描く弟子達に移っていった。彼は10通りの下絵を描き、ターバンの位置を決めるだけでまる1日2日費やしたという。商人の国オランダでそこまで時間のとれる者がいるだろうか。

さらに絵画のシチュエーションづくりのために古着や骨とう品を買い漁った。さらに同時代の画家の絵も高値で買った。彼にしてみれば、そうやって絵画の地位を高めているという自負があった。しかしサスキアの残した遺産はどんどんなくなっていく。

そして妻の死後、愛人ができた。最初は息子の乳母、そしてモデルとして登場するヘンドリッキェである。カルヴァン派のオランダでは不倫は禁物。だが、売春婦はOKでフェルメールも風俗画に残している。再婚すれば前妻の遺産がとりあげられるのでできなかったのだ。

1653年、第一次蘭英戦争に敗北すると、オランダは不況に陥った。レンブラントの借金も取り立てられることになった。1656年、ついにレンブラントの豪邸やコレクションが競売にかけられ、彼は破産し、何と一転、貧民街にある小さな借家住まいを余儀なくされた。

下左はレンブラントの傑作1658年の自画像。右はレンブラントの思いがよくわかる54年ヘンドリッキェの肖像


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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。