イングランドの歴史で議会が王の首を切るのは珍しいことではない。しかし新しいのは新王を出さず、共和制を宣言したことである。それどころか議会は「王権は有害である」との宣言を出した。まさに革命である。
権力の中心となった議会は60人そこそこ。その中でもリルバーン率いる「平等派」が、共和制推進の力だった。カルヴァン思想はついに政治的平等まですすんだのである。しかしクロムウェルら「独立派」は、そこまで進む気はない。平等派は「裏切り」と怒ってアジテーションをして、クロムウェルらはリルバーンらを逮捕してしまった。
外からも危機が発生していた。スコットランドとアイルランドは革命に反対し、1649年2月亡命していた前王の息子チャールス2世を王と決定した。ちなみにチャールズ2世の亡命時代の家庭教師があの有名なトマス・ホッブスである。軍の平等派も不服従をしていたが、この「国難」は絶好のチャンスで、クロムウェルは軍の平等派を粛正し、アイルランド遠征に乗り出す。
49年8月、アイルランドに上陸した軍は、解放を名目に、クロムウェルは抗戦する兵士、民衆、聖職者らを虐殺した。彼は、これを、アイルランド人が41年の戦争でイングランド人を殺したことへの「神の裁き」だと言った。
下はクロムウェルのアイルランド上陸
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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