バロックの時代19-ルーベンスからレンブラント

1640年5月30日、絵画の王ルーベンスが死去した、63歳。彼は画家だけでなく、外交官としても成功し、絵画彫刻コレクションをはじめとした膨大な財産を残した。ダ・ヴィンチが万能の人と呼ばれるが、ルーベンスこそその名がふさわしい。ある意味ルネサンス人の完成形といえる。

隣の国オランダでは、その成功の野心に燃える画家がいた。レンブラントである。彼は肖像画と共に宗教画も描くようになり、ルーベンスの構図を模したキリスト受難の連作を描いている。カルヴァン派が教会に聖画を撤去したので、商人達は自分の家に聖画を飾るようになったのである。

ルーベンスはカトリックのバロックにふさわしく天使が舞う劇的な宗教劇を描いたが、カルヴァン派はイエスと使徒以外に奇跡を認めない。むしろ個人の信仰を重視する。レンブラント達も、大げさな劇的効果から、むしろ内面性を露わにする光の効果を追求するようになる。

有名になり弟子を抱えたレンブラントにさらにチャンスが訪れる。アムステルダムの名士コックが、こちらも出世の野心のために、自分が率いる自警団の絵を注文してきた。戦争が終わり、自警団もパレードなどでしか出番が来なかった。オランダはバブルのさ中だった。

下左はレンブラント「十字架降架」右はルーベンス

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。