地球は動く5-ガリレオ異端審問所呼出し

1632年2月ガリレオ・ガリレイは主著となる「天文対話」を出版した。この書は彼が禁止されていたはずの地動説を説き、ヴァチカンの逆鱗に触れることになる。しかし彼は楽観的だった。遡る22年、自分の弟子が教えたバルベリーニ枢機卿が教皇ウルバヌス8世となった。ガリレオはこれを「奇跡的変化」と呼んだ。

ガリレオは、自分の研究を書いた「贋金鑑識官」を教皇に献呈し、教皇も食卓で朗読させて愛読した。すっかりOKと思ったのだ。しかし出版に手間取るうちに状況は変わっていた。30年ガリレオを後援していた公爵チェシがペストで突然死。32年には教皇の側近で支持者だったチアンポリが左遷される。

「天文対話」はやっとのことで、フィレンツェで出版された。ここの異端審問官は、実質トスカナ大公の配下で、大公からのプッシュで検閲は甘かったようだ。9月7日、トスカナ大使が「この本は検閲を通った」と言ったところ、教皇は「チアンポリとガリレオは余を騙した」と怒ったのである。

そして3人の特別委員会が設置され、委員会はガリレオが地動説を絶対的なものと主張している、と結論し、急転直下ガリレオは、ローマの異端審問所に召喚されることになった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。