30年戦争6-スペイン勝利も改革進まず

1625年はスペインは5つの勝利を手にした。4月にはジェノヴァの救援に成功、5月ブラジルのサルヴァドルをオランダから奪回、6月ブレダの開城、9月プエルトリコのサンファンでオランダ艦隊撃破、11月カディス港を急襲したオランダ艦隊を撃退した。

スペインの舵を取る筆頭大臣オリバーレス伯爵は、さらに公爵を叙任して、公伯爵と呼ばれるようになった。彼はその威をもって財政改革と軍事統合の改革に乗り出そうとする。何とスペインはカール5世時代から多くの戦争を戦ってきたが、その財政負担はカスティーリャだけだったのだ。

もちろん南米の銀鉱があった。しかしその銀はそろそろ産出が少なくなっていたのである。オリバーレスと国王フェリペ4世は各地を回り、軍費の支出を要請する。ところがスペインにはカタルーニャはだけでなく、アラゴンにもバレンシアにも独自のコルテス(議会)があって、そこが承諾しない。

26年3月に出発した国王御行は夏になっても決着しなかった。王も健康を害し、結局成果のないままマドリートに帰還した。スペインはやはり最初のままの「連合王国」なのである。そして翌27年フェリペ4世は、ジェノヴァ銀行団に対して最初の支払い停止を通告した。

下はヴェラスケス作「騎乗するオリバーレス公伯爵」

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。