バロックの時代7-ルーベンスバロックの誕生

カラヴァッジョに対して、アントワープに戻ったルーベンスは、スペイン統治の南ネーデルランドのアルブレヒト大公の宮廷画家、しかもブリュッセルの宮廷に行かず、民間の仕事も受けられるという破格の待遇を受けた。大公夫妻は芸術に造詣が深く、イタリアとスペインで認められたルーベンスを処遇しないわけがない。

そしてこの地では、北ネーデルランドにこれみよがしに、どんどんイエズス会のカトリック教会が建っていたのである。さっそく1611年から1年間で完成させた大作が聖母大聖堂の三連祭壇画「キリスト昇架」である。この絵画と共にオランダバロックが出来たといって過言ではない。

そして彼は続けざまに「キリスト降架」を完成させる。この2作に共通するのは「途中」ということである。途中であるがゆえに、鑑賞者は、これから起こる受難劇をリアルに体験することができる。身体は立体的であり、途中であるがゆえの、筋肉の緊張が描かれる。

彼は結婚して現在美術館となっている豪邸を手に入れる。そこは工房となったのはもちろんだが、今まで手に入れた古美術を展示した。彼は古美術コレクターとしても有名となり、それを見るために欧州中から貴族や大商人が訪れ、ルーベンスに注文をした。現代でいえばテーマパークといえるだろう。

下はルーベンスの「キリスト昇架」三幅対

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。