日本宣教30-欧州に響くガラシャの歌

細川ガラシャの物語はイエズス会によって記録された。そしてこの物語は突如1698年7月31日に欧州に公開されることとなる。何とイエズス会の教育施設で「勇敢な女性ー丹後王国の女王グラッツィア」という題名で、バロックオペラが上演されたのである。

オペラ台本の基となったのは、コルネリウス・ハザルト著「教会の歴史ー全世界に広まったキリスト教」第1部13章「日本の教会史ー丹後の女王の改宗とキリスト教信仰」である。ストーリーは異教徒の王の暴虐非道に苦しみながらも信仰を貫き、殉教して暴君を回心させた、というもの。

このオペラは、オーストリアハプスブルクの姫君達に特に気にいられたようである。彼女達は、他国へ嫁ぐ運命にある。マリア・テレジアの4女マリア・クリスティーナはプロテスタントのザクセン侯に嫁いでいる。つまり異教徒に迫害される運命も覚悟せればならない。

そして17世紀後半は、日本の陶磁器がヨーロッパを席捲し、バロックの宮廷で飾られた時代。イエズス会はこのチャンスを利用して、再び日本にキリスト教をもたらしたPRをしたのだろう。ガラシャと同じく37歳でこの世を去ったマリー・アントワネットは最後にガラシャに自分を重ねたと思っても不思議はない。

下は長岡京市で上演されたオペラのファイナルシーン

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。