近世の混乱5-皇帝ルドルフとアルチンボルト

1576年神聖ローマ皇帝マクシミリアン2世が崩御し、息子ルドルフ2世が継いだ。ルドルフは、幼少時をスペインのフェリペ宮廷で過ごしたため、父と反対にカトリック回帰の姿勢を示した。但し彼は精神不安でプラハ城に引きこもり、政治的無能だったため権力を握ったのはメルヒオール・クレースルである。

クレースルはルター派のパン屋に生まれたが、イエズス会に感化され熱烈な説教家となり、宮廷付司祭から政教に辣腕をふるった。オーストリア大公フェルディナンドも再カトリック化を実施して、プロテスタントは強制的に改宗させられ、反乱が起こることになる。

しかしルドルフは芸術の庇護者としては優れており、プラハはマニエリズムの拠点として、カール4世以来の繁栄を示すこととなった。学芸人としてはルドルフは人文主義者で理解があり、オーストリアから弾圧され逃げてきた文化人がここに集うことになった。

プラハは文化の拠点となり、奇才の画家アルチンボルトや天文学者ティコ・ブラーヘ、そしてケプラーが出会い、ケプラーはルドルフ2世付占星術師として研究を続け、遂にコペルニクスの地動説を精緻な形で復活させる。ボヘミアングラスもこの時代の工芸的産物である。

下左はティコ・ブラーヘ右はアルチンボルト作「ルドルフ2世」

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。