インディオの使徒12-先住民永久奴隷化に反対

皇帝カールは晩年の修道院で「新大陸に行き、先住民への罪を悔い、損害を賠償したい」と言ったそうだ。しかし後と継いだフェリペ2世は、父のつくった莫大な借金の返済で必死だった。1557年のデフォルトでは、債務を年5%の債券に切り替え、現在のアメリカのように元本返済を事実上止めた。

この財政危機にアピールしたのが、ペルーの入植者達である。彼らは現在2代までが期限の先住民奴隷の永久所有を訴え、その代金として760万ペソの献金を約束したのである。国王はこれに乗り気になり、調査委員会がつくられた。実際は永久所有どころか先住民はどんどん死に絶えていたのだが。

もちろん払下げに反対したのはラス・カサスら、新大陸の聖職者達だった。ラス・カサスはスペインに居り、59年にはペルーの先住民の族長達の全権代表となった。彼は、スペインの借金に先住民はかかわっていないと述べ、先住民に自治を返せば、その代わりに献金する、と述べる。

ラス・カサスは以前よりも王室に鋭く迫るようになる。もはや王権を擁護せず、むしろ王フェリペ2世を批判するようになっていく。結局ラス・カサスらの運動の成果もあり、払下げはうやむやになった。だが、ラス・カサスは、スペインは凋落すると予感するようになる。

下はペルーの先住民の祭に招待された教皇フランシスコ

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。