インディオの使徒11-自然奴隷説との対決

植民地側の抵抗はあるものの、思想的にはラス・カサスら人文主義派が有利となっていた。しかしここにその反論が出てきた、フワン・ヒメス・デ・セプールベダからである。名高いアリストテレス学者であったセブールベダは、主に「自然奴隷説」を主張した。

自然奴隷説は、野蛮な人間は文明的な人間に服従し、文明的になるべきという思想で、アリストテレスから形を変えて、今日まで続いている。1450年7月7日、国王カルロス1世は、新しい植民地政策の審議会を開催したが、ここで2人は対決することになり、その地をとって「バリャドリード論戦」と呼ばれる。

「自然奴隷説」に対して、ラス・カサスは、アメリカ先住民は、決して文化を持たない野蛮人ではない、と先住民文化を詳細に述べた、これは後に「インディアス文明誌」として結実することになる。偶像崇拝についても、偶像崇拝のみで、キリスト教が異教徒を攻めたことはない、と反論した。

バリャドリード論戦では、2人が直接対決することはなく、2回にわたって、1年間開催されたが、この2人の対決が主眼の会議ではなかった。しかし、審議会の結論としては、やはりアメリカ先住民の征服は、スペインに益するものではない、という結論となった。

下は劇バリャドリード論戦

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。