我ここに立つ23-カルヴァンの予定説

ルターの職業観はドイツのギルドのようなもので、利益については否定的である。価格も自分の努力が報いられる程度に設定せねばならない、利子も禁止である。いわば職業は修行のようなもの。しかしカルヴァンは利益にポジティブなのだ。

商売で儲けることは、神の恵みの現れである。カルヴァンは貧富の差も神の予定と考える。富んだ者は貧しい者に施すことで神の道を行い、貧しい者は施されることで、富者を富の奴隷から解放することができるというわけ。実際的な考えだが、うまくいかないことのほうが多いだろう。この後アメリカなどではダイレクトに、成功は神の導きと考えられていく。

国家についてはルターの予定説では、神の認めたものであり従わねばならず、国家が管理する領邦教会が生まれていくことになる。カルヴァンも国家が神に基づいたものだと認めるが、それは神意を行うものであればに限り、それに背けばこれを正すことが許される。

教会やキリスト者は、為政者が正しくなるよう祈り勧告する義務がある。しかしそれでもダメなら抵抗することは許される。カルヴァン派は教皇も位階制も認めないので、カトリック国家とは対立する。そして迫害が続くなかで武力闘争を肯定し、この後ヨーロッパ宗教戦争となってゆく。

下はカトリック、カルヴァン、ルター三つ巴の戯画

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。