フランソワ1世が招いたのはダ・ヴィンチだけではなかった。イタリアの工芸職人も招き入れ、城をルネサンスで満たした。ルイ12世の居城ブロア城に自分の城を増築した。この城の螺旋階段はルネサンス様式の傑作といわれる。室内装飾もイタリア職人に作らせ、食事まで真似た。それまでナイフとフォークはフランスになかったらしい。
フランスに輸入された人文主義は、フランスではユマニスムとなり、啓蒙主義に引き継がれるフランス文化の伝統をつくることになった。それはやはり、キリスト教を含めた古典古代の研究から自由に人間をとらえようとする方法で、当時アリストテレス一辺倒のスコラ保守派と対立するようになってゆく。
フランソワ1世とレオ10世との和平協定である「ボローニャ政教和約」において、フランスはヴァチカンに金を払う代わりに、司教、大司教、大修道院長の任命権を持つこととなった。「ガリガニズム」というフランス国家教会主義は以前より強かったが、ここで完成を見ることとなった。
しかしこのことは、高位聖職者がフランス貴族の受け皿となり、教会が国王のものになっていくことには、下級聖職者達の反発を生んだ。ユマニズムは聖職者以外の文化人に広まり、フランスでも宗教改革の嵐を呼ぶ下地となっていった。
下はブロア城の螺旋階段
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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