メディチ家以後フィレンツェのリーダーとなったのはカリスマ説教者サヴォナローラである。彼は権力は国民のものではならないと説き、メディチ家支配に反対した。この平等主義は、宗教改革思想を先取りしたといえる。そして自分を神の使いと称して、フィレンツェから新しい教会が生まれると言った。
フィレンツェ人のプライドをくすぐるこの説教は熱狂的にウケ、ミランドラのような人文主義者も期待してサヴォナローラの廻りに集まった。1494年のフランス侵入は、イタリアへの罰を説いたサヴォナローラの予言が的中したと理解された。仏王がサヴォナローラにおだてられて、さっさと町を去ったことは決定的にカリスマの証明となった。
その後、フィレンツェは、500人からなる民衆大評議会をつくって共和制を開始した。しかしまあ共和制といってもサヴォナローラの言いなりだったのは、ヒトラーに浮かされたナチスドイツを思わせる。
そしてサヴォナローラは、フィレンツェを拠点として、世俗化して欲に染まったアレクサンデル6世のヴァチカンを攻撃した。当初は教皇は、枢機卿にしてやると言ったらしい。しかしサヴォナローラは「血で染まった帽子のほうがいい」と拒否した。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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