仏軍の侵入はイタリアを混乱に陥れた。メディチ家が追放された後のフィレンツェは、富裕層と庶民が対立した。その中でリーダーとなったのは、サンマルコ修道院長にしてカリスマ説教師、サヴォナローラだった。彼はこれまでの物質的欲望に満ちたフィレンツェを批判し、彼の預言による神権政治が行われる。
ヴァチカンはといえば、なんと軍を持つことにした。これまでヴァチカンは何回となく侵攻されている。その都度、教皇は、武力は持たず、その権威と政治力だけで、その地位を守ってきた。しかし今回の大軍は論外だった。とはいえ、教皇が軍を持つことで宗教的権威を自ら放り投げたといえる。
彼はリアルな政治家だった。むしろありすぎたあまり、教皇の宗教的権威を地に落としてしまったといえる。教皇には3人の息子、1人の娘が居た。長男チェーザレは、ヴァレンシア枢機卿となり、父の後を継いで宗教貴族となる予定だった。次男ホアンは、世俗ガンディア公爵となっており、彼が教皇軍総司令官となった。
フィレンツェの没落で利を得たのは、ヴェネツィアとミラノだった。ヴェネツィアは、フィレンツェのルネサンス文化が移植され、さらに華やかなヴェネツィア派文化を咲かせることになる。そしてミラノの僭主ルドヴィコは、見事仏王シャルルから神聖ローマのマクシミリアンに入れ換わり、隆盛を極める。何のことはない、フランスが去ってさらにイタリアは混乱したのだ。
下はドラマ「ボルジア家」より教皇軍を指揮するホアン・ボルジア
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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