オルレアンの少女31-ジャンヌ捕縛!第二幕へ

ピュセルが出てくる、という噂はイングランド軍に恐慌を巻き起こした、と記録されている。ところが彼女の兵力たるやわずか2、3百人である。宮廷ではあいかわらずラ・トレモイユが自分のためだけに宮廷を動かし、結局国王が主導権を回復するのは、この男がヨランドによって失脚させられてからである。ジャンヌはほぼ独断で出撃した。

副官ドーロン兄弟だけはいつもついていたのだから見上げた忠誠心だ。ジャンヌはイル・ド・フランス地方に入り大歓迎を受け、4月22日共に復活祭を祝った。そこでジャンヌは、乞われて、洗礼前の死んだように見える赤ちゃんの前で祈った。驚くべきことに、赤ん坊は眼をさまし、無事洗礼を受けられ、ジャンヌが出撃してから安らかに天国に召された。しかし同時にこの頃「声」は、ジャンヌに捕えられると告げたらしい。

ジャンヌは、山賊を討伐しながら、入城を要請されていたコンピエーニュに入った。そしてそこの守将と共に、近くのブルゴーニュ派の要塞に朝早く奇襲をかけた。奇襲は成功するかに見えたが、たまたまそこを総司令官であるジャン・ド・リュクサンブールが通りかかり、すぐに手当たり次第周辺全軍に指令を出し、大軍が集まってきた。

ジャンヌ達は退却を与儀なくされ、彼女は殿(しんがり)で、皆が帰城するのを支えていた。そのうち彼女のまわりには、それこそ項羽か関羽の如く、何百もの敵兵が群がってきた。その中の弓兵が、脇からジャンヌの陣羽織をひっぱって、落馬させ、ついにジャンヌは捕えられた。この兵はリュクサンブールの副官で、彼女は彼の捕虜とみなされた。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。