前宗教改革2-ウィクリフの書フスの手に

プラハはカール4世のもとで繁栄を極めていた。その中に一人の説教師が居た。彼の名をヤン・フスという。多分1370年ごろ貧しい家に生まれて教会で奉公した。しかし彼は頭脳明晰で、プラハ大学に入るや、93年に学士号をとり、94年に論理博士号、1400年に聖職者になり、翌年に哲学部長、さらに翌年プラハ大学の学長にのぼりつめた。

当時のキリスト教界は、教会大分裂が続いており、アヴィニョンとローマに2人の教皇が居てお互い正統と言っていた。それだけならいいんだが、ヨーロッパもどちらを支援するかで2分されていた。さらに国の教会に至るまでどちらの派かで信仰などそっちのけで勢力争いをする始末だった。プラハの教会にしてからが、無税と特権の中でぜいたく三昧をして、何かと宗教にかこつけて金をとっていた、金権だったのだ。

こんなことでいいのかと悩む真面目なフスに、新しい本が目に付いた。著者はジョン・ウィクリフという。実はカール4世のあとを継いだ長男ヴェンツェルの妹アンナが、英王リチャード2世と結婚し、イングランドの本がなんとボヘミアに来ていたのだ。その本は教皇の権威を否定していた。

フスは、今の教会の堕落は聖職者に原因がある。聖職者というのは、神の言葉を語るから聖職者なのであって、司教から任命されたから聖職者なのではない。キリストの言葉に基づいて、清貧な真面目な生活をして、神を敬う人が天国に行けるのだ、と説き始めた。

下はプラハ旧市街広場のフス像

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