百年戦争18-ワットタイラーの反乱

1377年、愛人ボケのエドワード3世に代わって黒太子の子、リチャード2世が10歳で即位した。前王の男子は6人も居たのに誰一人王位に就けなかったのは驚くべきことだ。ともかく叔父のケンブリッジ伯が摂政となった。

王室財政はペストと戦争のために破綻をきたしており、80年王は人頭税を課税した。資力にかかわらず一律に課税する人頭税は、貴族や有力市民からなる議会の支持は得られたが、疲弊した農民達に重くのしかかった。81年、ついに農民反乱が勃発した。それはワット・タイラーという屋根瓦職人と言われる男に率いられた大乱となった。

もう一人の指導者はジョン・ポール神父で、彼はウィクリフの思想に影響を受けた過激神父で、投獄されていたが反乱で救出されて思想的リーダーとなった。反乱はケント地方から、貴族の館を焼き払いながらロンドンに進軍し、王に直訴に及んだ。謁見した新王が見たのは槍に刺されたカンタベリー大司教と財務長官の生首だった。

第一回会見で新王は、反乱軍の要求を呑む姿勢を示して何とか収め、翌日の謁見で、その要求を承認して喜ばせた後、ロンドン市長がタイラーを剣で殺害した。王側はタイラーの死をきっかけに反撃を行い、首謀者が処刑され、新王は反乱を収めたことで評価を高めて政権を安定させることができた。

下は切りつけられるワット・タイラー

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。