カタリナが予言した教会の混乱は確実に芽吹いていた、イングランドで。ジョン・ウィクリフ、後に宗教改革の先駆者と言われる神学者。彼はオックスフォード大学に居たが、1374年エドワード3世によってローマ教皇@アヴィニョンとの百年戦争の和平交渉次席代表を務めた。その先年彼は「命題集」を著わし、教皇のイングランド教会の監督権を否定し、王権を肯定した。つまり王に都合がよかったのだ。
76年、彼はさらにイングランドの命を受け、高位聖職者の腐敗を糾弾し、「俗権論」で、現在の教皇庁に神の恩寵がないとその権威を否定し、教会財産の国庫への没収を肯定した。ここまで来るとアヴィニョンも黙っていない、翌年この著書の5つの論題を否定し、彼をオックスフォードで投獄。しかし彼は議会に提訴して免れた。
この事件からは彼は過激化し、ローマ教皇の権威どころか聖職制度も否定した。またミサでパンと葡萄酒がキリストの身体になるという「化体説」も否定、修道院の解散を主張し、ただ権威は聖書のみ、という「聖書主義」を提唱するのである。そして民衆が読めるよう彼はルターよりも早く聖書を英訳した。
1381年にもドミニコ会が彼を裁判にかけようとするが、彼は堂々とシカトし、その後オックスフォードを辞して町の司祭になって84年に亡くなった。ウィクリフの説は、フランスと百年戦争の中で、イングランドのPR役としてヨーロッパ各地に広がり、次の世紀に遂に動乱を起こすこととなるのだった。
下はマドックス・ブラウン作「ウィクリフの試練」
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
0コメント