教皇庁捕囚5-封建騎士から常備軍へ

十字軍の時代終了と共にいろんなものが変わろうとしていた。フランスでは王権が強まるにつれて軍が変わろうとしていた。これまでは封建時代の契約で、騎士の従軍義務は40日、それを過ぎると戦場を離れても違反に問えない。ところが王権が拡大するにつれて、フランドルやアキテーヌまで頻繁に軍を向けねばならなくなった。

よくできたもので、封建時代の騎士叙任は聖職者の仕事だったのだ。聖職者は騎士の剣を聖別し、それをまずキリストのために使うように命ずるのである。王の前に神がある。これによって王の権力は制限され、欧州内では無用な暴力は制限された。11世紀からの非戦闘員に暴力を振るわない「神の平和」はこうやって生まれたのである。

しかしこの制限は、悲しいかな異教徒には適用されなかったのは前に書いた。王権が強化されるにつれ常備軍という軍事革命が必要となってくる。しかしそれを遂行するにはともかく金をどうつくるか。そこで課税が変わってきて、官僚組織、法体系、議会が整備されてくる。

封建時代のバランスは王権の強化によって崩壊する。教皇の力は、ヨーロッパでパワーが分散されていたからこそ効果を発揮した。王権によって国家への結集が強まり、古き良き、教会によって結合されていた中世ヨーロッパは各国に解体されていく。そして強力な軍備によって戦争は激しくなっていく。

下は中世フェスティバルの中で剣を聖別する聖職者

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。