1944年、第二次世界大戦のさ中にカール・ポランニーの「大転換」が出版された。ポランニーによれば、世界大戦は西洋の発展「にもかかわらず」勃発したのではなく、その結果として勃発したというのである。彼は資本主義的自由経済を人間歴史の特殊な状態として考える。
人間は社会関係の中で生きており、自由経済はその社会関係との摩擦を呼びおこす。例えば自由経済は国家や民族を越えていくが、それを無くすことはできず、その揺り戻しとして民族主義や国家主義、国内の対立を防ぐため社会主義政策ができていく。その混乱の中で大戦が勃発したのだという。
ポランニーは冒頭「19世紀文明は崩壊した」という。19世紀にも労働運動なり自由経済を規制しようという動きがあったが、その衝突がもはや調整不可能になり、これを暴力的に解決しようとした。マルクスやレーニンの考え方と似ているところである。
市場経済は崩壊し、その後は社会システムを壊さない形の「複合経済」に移行していくという。これは2つの大戦後のケインズ主義の福祉社会を予見したものといえる。しかし今日、福祉社会=規制社会からまた自由主義経済となった。するとイスラムやロシアなどの伝統主義社会とグローバルな対立と戦争を起こした。さらにアメリカ内部にも分裂をもたらしている。再び規制社会に戻るきざしは見えている。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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