現代思想4-シュペングラー「西洋の没落」

1918年、第一次大戦中にシュペングラーによって「西洋の没落」が発刊された。これは戦争前から温めていた思想であり、大戦に影響されたものではない。この書は進歩史観によって書かれたものではなく、エジプトやギリシャ・ローマと西洋文明を比べる比較文明論によって書かれたものである。

シュペングラーは、文明循環論に立ち、他の文明のようにヨーロッパ文明も没落すると考えた。すなわち若いその土地に結びついた文明が、地域に限定されないグローバルな文明となり、それゆえに生き生きとした魂を失い世俗化されて没落していくと考えたのである。

その世俗化の象徴が貨幣であり、貨幣万能社会になったことによって西洋は没落する、これはワグナーも「神々の黄昏」で劇化した思想である。戦後に出された第二巻では西洋はカエサル化するといい、このカエサル個人の本源的な血の力によって貨幣やデモクラシーの独裁を打ち破ると述べる。

内容はとても実証的とはいえない書であるが、タイトルの「西洋の没落」は衝撃的であり、まさにヨーロッパが自殺していくさ中に出版されて今に至るもタイトルだけが生き残っている。彼の予言はアメリカが覇権を握りさらに貨幣万能の世の中になりはずれたともいえるが、アメリカが野蛮な力で支配しているのはあたっている。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。