現代思想3-レーニン「帝国主義論」

1917年にウラジミール・レーニンの名著「帝国主義論」が出版された。彼は第一次世界大戦の本質を書きたかったのだ。資本主義が発展すると独占資本が経済を牛耳る。そして国内から余った資本が国外に投資され、同時にその権益を守るために他国を支配しようとする、これが帝国主義というわけだ。

そして列強間によって世界が分割される、しかし必ずそれはチャレンジを受けて世界の分割をやり直そうとする試みが起きる、世界が分割されているのでこれは大掛かりな世界大戦にならざるを得ない、レーニンはそう分析する。帝国主義は最高で腐朽している資本主義で社会主義に取って変わられる。

帝国主義論はここで終わっているが、これは検閲を通すためだった。実はその先がある「帝国主義戦争を内乱へ」。戦争は勝敗があり、負けた国はそれまでの国民の辛苦が政権批判に代わり、革命の情勢が訪れる、よって社会主義者は自国の負けを願い、その革命の準備をしなければならない。

恐るべき冷徹な慧眼である。この見通しによってロシアでは社会主義革命が達成された。20世紀は二度の大戦の結果、アメリカが世界唯一の超大国となった。しかし今日、アメリカは衰退して中国が大国として勃興して、米中(露)が対立して再び戦争の時代が到来しているかもしれない。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。