現代思想2-ベルグソン「生の哲学」

1907年アンリ・ベルグソンの「創造的進化」が上梓された。ベルグソンは客観よりも主観を重視する、例えば人間にとって時間はゆっくりすすんだり、遅くすすむと感じることがある。科学的な考え方では人間の内実が捉えられない、と批判する。啓蒙とか科学といっても上から人間に与えるだけではないか。

ベルグソンは人間の内的な生命にこそ光をあてるべきと考える、例えば虹は7色だといってその虹の美しさが捉えられるわけでもない、人間を内側から捉えねばならないのだ。「創造的進化」ではダーウィン的な進化論を外的に捉えただけど批判し、生命の内的衝動こそが進化の原因であると提唱する。

なんとまあ啓蒙主義への総攻撃である。啓蒙主義から発した科学技術が発展したが、人間の精神、生命の充実にはつながらなかった。貧者は飲んで日頃のうさを晴らし、ブルジョアは歓楽や外国旅行を楽しむだけである。刺激と享楽がいや増していっただけである。

「神が死んだ」欧州で、その代わりにギリシャ時代のルーツを求め、ナショナリズムが勃興する。そして皮肉なことに「生の充実」のために戦争を願うまでになる。第一次世界大戦が始まると皆「祖国」のために団結し、祖国を守ることに生きがいを感じるというまでになった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。