世界大戦へ20-怪僧ラスプーチン登場

1905年革命後、ストルイピンの改革農地の個人所有をすすめる改革により、ニコライ2世の御世は安定を取り戻したかに見えた。ところが1911年9月1日、ストルイピンがテロで暗殺されるのだ。この日は農奴解放50周年の記念日、彼はアレクサンドル2世記念碑の除幕式で皇帝と共にキエフに居てオペラを観劇していた。

その後任についたのが改革主義者のココツェフで彼は労働保険制度をつくった。しかしこの首相も14年1月29日に更迭された。その理由は怪僧といわれるラスプーチンである。この僧はアレクセイ皇太子の血友病の苦しみを祈祷によって癒したということから特に信心深いアレクサンドラ皇后の信頼を得た。

宮廷の近代主義者は、ラスプーチンをペテン師だと考え、彼の治療も催眠術や麻薬中毒にさせるものだと疑っていた。また放蕩の限りをつくしているという報告も秘密警察からあがっていた。貴族達も皇帝への影響力に嫉妬し、首相もラスプーチンを調査しようとしていた、そのため罷免されたといわれている。

皇帝は後任としてお気に入りのゴレムイキンを再登板させたが、反動家として国会議員との折り合いはすこぶる悪く、また国は割れてストライキやデモが頻発し、ロシア内政は混乱を深めていた。そして宮廷内でも、国民を一致させるのは戦争しかないと考える者も出て来る。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。