現代芸術5-東洋の音楽の都ハルビン

1908年ロシアのオーケストラがハルビンでチャイコフスキーの「1812年」を演奏、これは中国史上初のオーケストラコンサートだった。ハルビンは中国領だが、ロシアが東清鉄道を建設すると、交通の要衝としてロシア人が移住し、街は発展しロシア風の建物ができていった。

ロシア戦争にロシアが敗れると、日本は東清鉄道と南部鉄道線経営権を得て、日本人の居住も認められる。清朝もハルビンを対外交易拠点に認定した。ハルビンは一躍国際都市となったのである。そしてこの地にはロシアの迫害を逃れて多くのユダヤ人が住むようになった。

そして移住したユダヤ人音楽家達が中心となって、西洋音楽をハルビンに持ち込んだのである。そして08年に「東清鉄道音楽団」が誕生した。そしてハルビンの音楽家達は来日して日本の西洋音楽の発展にも貢献し、1925年に「日露交歓交響管弦楽演奏会」が4日間行われた。これは日本で最初の本格的オーケストラの演奏会だった。

ベルリンフィルの首席ヴァイオリニストを務めたヘルムート・シュテルンもナチスの迫害を逃れてハルビンに来た音楽家だった。そこで彼は指揮者朝比奈隆と出会い、その50年後に再会を果たした。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。