聖王の御世5-トマス・アクィナスパリ大へ

ルイ王は神学を振興させるため、ロベール・ソルボンを支援して大学を建てた。これが現在パリ大学の一部となった名門ソルボンヌ大学である。そしてそこには欧州最高の知性が集まることになったがその一人がトマス・アクィナスである。彼はフェデリコのつくったナポリ大学でアリストテレスを学んだ。

1252年、27歳でトマスはパリ大学でドミニコ会がもっていた2つの講座の候補として入学することになった。当時のパリ大学は、旧来の大学人と新進のドミニコ、フランチェスコ会との争いが頻繁にあり、大学ストや大学紛争もあったというから驚く。

しかし当時アリストテレスは禁書だった。暗黒時代ではない。12世紀から西欧の大学は非常に自由で、中東やイベリアを介してどんどん知識が入ってきていた。その中でも禁書となったのだから、かえって影響力の大きさがわかる。しかし異端審問にかかるわけでもなく、どんどん読まれていたのである。

1256年に神学教授になったトマスに、イスラムの残るイベリアから依頼されたのがアリストテレスへの反論であった。そしてイスラムを介して伝わった精緻なギリシア論理学の頂点であるアリストテレスに彼は正面からとりくむこととなった。

下はソルボンヌ大チャペル時計台左の像がトマス・アクィナス

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。