1905年、人類の時間と空間認識に革命をもたらしたアインシュタインの相対性理論が発表された。それに先立つ1883年、物理学者で思想家のマッハが、ニュートン力学が絶対空間と絶対時間を前提としていることを批判し、アインシュタインはマッハの考え方に影響されていた。
相対性理論が明らかにしたことは、それぞれの系や場によって空間と時間が変わるということだった。実際にスカイツリーの展望台では、重力の違いから時間の進み方が地上より4ナノ秒速いことが計測されている。
そして相対性理論は、絶対的な「神の視点」を最終的に世界から追放した。それぞれの世界は同等で、絶対的な時間も空間もない。理論は、その変換公式を定式化したが、それはそれぞれの世界の基本的翻訳方式であって、基本的なモデルはどこにもないのである。
現代哲学者のマルクス・ガブリエルは、世界は確かに存在するのだが、すべてを包括するような絶対的視点を否定する。しかし世界が存在するという前提に基づくので、我々はそれぞれの視点からコミュニケーションができるのだと言う。コミュニケーションは、文化などによるそれぞれの視点を理解することによってできるはずなのだが、たやすくないことは今の世界が示している。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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