1901年1月22日イギリスのヴィクトリア女王が崩御した、享年81歳、彼女はまさにイギリスの繁栄のうちに生きた。彼女の時代にイギリスの植民地は10倍に広がり、人類史上最大の領土となった、スペインなどものともしない「太陽の没することのない帝国」をつくったのでる。
しかしヴィクトリア女王はそれに奢ることはなく、慎み深い生活を貫いた。これは産業革命で台頭してきた中産階級に、家庭を大事にするモラルある生活を送る模範となった。植民地では武力を使い好き勝手をするイギリスは、彼女の示す姿を見習うことで「ジェントルマン」としてのイメージを世界に示せた。
しかし、広がりすぎた帝国は末期に綻びを示すことになる。インドではボイコット運動が起こり、ロシアは中国北部を狙う。ボーア戦争では苦戦を強いられ、この戦争は女王の心痛の種で、晩年は不眠症に悩まされた。そして女王の崩御のときも戦争は続いていた。
実は女王危篤のとき、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世は急遽イギリスに飛んだ、独皇帝は彼女の母方の孫にあたる。ドイツは植民地を拡大しつつあったが、後年ドイツとイギリスが大戦争を起こすなど、このときには考えられなかっただろう。第一次世界大戦は「女王のいとこたちの戦争」と呼ばれる。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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