近代と信仰20-小さき花のテレーズの道

ところでここは天界。「マリアお母様お呼びでしょうか?」「おおジャンヌ・ダルクちゃんちょっと女の子をお願いしたいの」「いよいよ戦争するんですか?」「物騒なこといわないでよ聖女候補よ」「たくましい子ですか?」「いや病弱な子なの」「えー」「あなたのファンなんだけどなー」「ファンのためなら」

1883年マリー・フランソワ・テレーズ・マルタンは、病気になり聖母に祈っていたところ、聖母像の顔がほほ笑むのを見て病気から回復した。彼女は14歳から修道女になりたいと熱心に願い、89年念願がかない「幼きイエスのテレーズ」という修道名を受けた。

その頃はジャンヌ・ダルクのリバイバルで、その伝記を読んだテレーズは自分もそれに倣いたいと思い、コスプレもした。しかしテレーズの使命は人目につくことではない、と教えてくれた。テレーズは修道院の中で、本当に目立たず1897年、24歳で帰天した、その前に「私は天からバラの雨を降らせます」と言った。

テレーズを有名にしたのは死後に出版された自伝である。彼女は人間を花に例え、大きなバラだけでなく小さなスミレもまた必要だと述べた。日常的な小さな善行や愛が聖なる道だと言ったのである。この新しい聖性に彼女は教会博士の称号を得た。そして数々の奇跡が起こったそうだ。中でも有名はのはエディット・ピアフの目を治したことだろう。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。