ロマン派以後8-ラ・ボエームの真実

1896年2月1日、プッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」の初演が行われた。「ラ・ボエーム」とはボヘミアンのことで、モンマルトルに住んでいた貧乏芸術家と恋人達の物語で、1846年に出版された「ボヘミアン生活の情景」という作品が原作となっている。2001年の映画「ムーランルージュ」も創られている。

オペラは詩人ロドルフォとお針子ミミの純愛がメイン。ミミは病気で金のないロドルフォは仕方なく別れるように仕向けてミミは金持ちの愛人となるが,最後にやってきてロドルフォに見守られて死ぬ。ところが原作ではミミは贅沢に憧れてロドルフォに飽きて金持ちのところに行くのだ。

ロドルフォはミミとの恋愛を詩にしてミミはそれを読む。そしてパトロンと別れて貧しくなったミミが漂白剤を飲んで自殺未遂してクリスマスイブに亡霊のように現れて医師に見せるが亡くなる。ロドルフォ達は認められて有名になるが最後に「もう上等のものしか愛せなくなった」とつぶやく。

ボヘミアン達はあっちでくっつきこっちで別れと自由恋愛者で純愛とは大違いなのだ。それをプッチーニが台本に口出しをしまくって原作とは大違いの純愛ストーリーに仕立てあげた。ミミは貧しく純粋で、プッチーニの理想の女性になった。確かに甘く切ないプッチーニの音楽はこのストーリーにぴったりだった。

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。