ロマン派以後6-アールヌーボーの先駆ミュシャ

この時代を代表するポスター作家としてもちろん忘れてはならないのがアルフォンス・ミュシャである。彼は1895年、主要な画家がパリに居なかったのを幸い、依頼を受けたサラ・ベルナールの劇「ジスモンダ」のポスターで一躍脚光を浴び、パリで大評判となり、サラも舞台の女王となった。

しかしまあ、このポスターたるや実際の舞台のサラと全く違うのである、よく客が文句を言わなかったもんだ。その後彼は売れっ子になって商品ポスターも手掛けているが、自転車のポスターなど、我々の自転車のスポーティで日常的なイメージとはまるで違う、多分これでは乗れないだろうというファッション。

こうした評価は当時もあったようで、商品の宣伝になってないじゃないか、という批評もあった、しかし彼のポスターは人気を博した。ここまでいくと商品が人気なのかポスターが人気なのかわからない。そうしたポスターや宣伝は確か日本もバブル時代にあったような気がする。

実際ミュシャのポスターに出て来るのは女性ばかりであり、古代の服や草花を身にまとっている。「ファムファタル」のところでも述べたが、合理性に飽きた近代人は女性に原始的なものを求めたのである。ミュシャの優雅な曲線はアールヌーボーの時代の先駆けとなった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。