近代アジアの動乱44-日本の勝利と三国干渉

翌1895年に入ってからも日本軍は遼東半島全域の制圧を目指し、台湾海峡の要衝である膨湖列島を占領した。3月19日に下関条約が調印され、日本は遼東半島、膨湖列島及び台湾を割譲され、3.1億円の賠償金を得た。ところが露独仏の3国がこれに反発し、三国干渉によって日本は遼東半島を返還した。

日清戦争の勝利は日本の世論を一変させた。すでに「脱亜論」を書いていた福沢諭吉は、開戦直後「日清の戦争は文野の戦争なり」と時事新報の社説に書いた。つまり文明と野蛮の戦争というのである。なんと内村鑑三でさえ清国は「進歩の大敵」と欧米人向け雑誌に書いた。

朝日新聞は戦争報道で大幅に部数を増加させたが、東京朝日では「馬鹿につける薬はないとはこれ支那人のことか」とまで書いた。旅順虐殺事件では満州人は無知で騙されて襲ってきたのだからこれを掃討して当然と書く。長年の中国コンプレックスが反対の蔑視に行きつき、それは今日まで残っている。

一方中国では、孫文が94年にハワイで興中会を結成し、華僑の援助を得て清国打倒をめざすようになる。中国では日本との因縁は満州事変からではなく日清戦争から始まったという認識である。習近平も2014年に「申午の年は特別な意味がある。そして今我々は中華民族の復興という偉大なる目標にかつてなく近づいている」と述べた。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。