経済の長期低迷の影響を受けて、1887年11月7日ロンドンで「血の日曜日事件」が発生した。アイルランド担当大臣となったバルフォアは、弾圧法を制定して、アイルランド民族主義者を逮捕していった。ロンドンの集会は逮捕された国会議員の釈放とアイルランド弾圧への抗議が目的だった。
またイギリスでもマルクス主義が普及し、フェビアン協会や社会民主連合が結成された。デモの中には指導者であったエレノア・マルクスも入っている。ロンドンにもアイルランド移民が押し寄せ、イーストエンドでは深刻な貧困と社会問題をもたらし、アイルランド移民は労働者の大集団を成していた。
11月7日のデモでは、総計1万人のデモ隊が、各方面からトラファルガー広場をめざした。群衆は3万人に膨れ上がり、2000人の警官隊と200人の軍隊が出動した。警察は放水車を使い、400人が逮捕された。この弾圧は1848年のチャーティスト運動の弾圧以来である。
これ以後イギリスではデモや社会不安が顕在化し、ホワイトチャペル地区は、貧困のために売春が増加、不道徳のたまり場のように見られた。そして婦人を狙って殺害した後、腹部から性器まで後半に切り裂いて惨殺するという「切り裂きジャック」事件まで起こり、世情は混沌としてくる。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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