ベルエポック44-フランス労働総同盟

1885年フランス労働総同盟が発足した。抵抗闘争のメッカのようなフランスだが、労働組合の組織率は低かった。それはフランス革命のように個々人が集まって暴力も含めた抵抗をする習慣が強く、またルイ・ブランやサン=シモンのような労働者の生産協同組織をめざすという考え方が強かったせいである。

労働組合とストライキ権などは1884年に法律で認められた。それと同時に「労働者取引所」が各自治体ごとに設けられ、失業や災害補償などの労働者共済組合ができることになった。そして労働裁判制度も設けられ、共和国政府はストなどの紛争に至る前に解決することを期待していた。

しかし華やかなベル・エポックの中で、1900年でもフランスの労働時間は毎日11時間であり、イギリスはもう8時間労働を達成していた。労働者は相変わらずパリ郊外の狭い住居に住んでおり、寿命も短く、2年に一度はフランスは生者よりも死者のほうが多いということになった。

1890年に恐慌が起こり、フランスではストや労働争議が多発、都市でも貧民が増え、ピカソは「青の時代」の絵でそれを描くことになった。ベル・エポックは格差を広め、絶頂から不安と混沌へと移っていく。

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