近代アジアの動乱32-東京帝室博物館

1882年、日本最初の博物館である東京帝室博物館が開設された。それまでの日本文化作品は、明治維新直後に廃仏毀釈で仏教文化が廃棄され、その後西洋のジャポニズムと日本の西洋崇拝が重なり、日本文化はどんどん海外に流出していた。その中でフェノロサなどは日本文化を高く評価してその保存を訴えた。

実は博物館の創設は72年となっている。この年ウィーン万博に出展する作品を集めて湯島聖堂博覧会が開かれた。この展示会には15万人が訪れ、会期を延長して1カ月以上開かれた。ウィーン万博では日本館が人気となり、この報告書で自国の博物館の必要性を提言した。

初代館長となる町田久成は、65年に薩摩藩よりロンドンに留学し、大英博物館を見学して感嘆していた。彼は70年に博物館計画を提案している。そして71年には古器旧物保存方という太政官令を出し、近畿地方を中心に社寺より目録を提出させて、文化財調査を実施した。

博物館は建設が決定して着工された。ところがその後ろ盾となっていた大久保利通が暗殺、西南戦争のための紙幣乱発でインフレがすすみ、建設費が高騰して建設はストップしてしまう。田中らは、そこを使って77年内国勧業博覧会を実施、何とか博物館の建設に成功した。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。