ベルエポック36-ロシアのユダヤ人迫害

1881年、皇帝アレクサンドル2世暗殺の1カ月後、ウクライナを中心にユダヤ人迫害、虐殺「ポグロム」が発生した。皇帝暗殺の一味にユダヤ人が居たことで、民衆のスケープゴードにされたのである。ロシア帝国が拡大するにつれ、ポーランド、ウクライナのユダヤ人が帝国内に入ってきた。

汎スラブ主義をかかげるロシアにとってユダヤ人はやっかいな存在であった。アレクサンドル2世はユダヤ人にも寛容政策をとり、ロシアでもユダヤ人富豪が出現したが、その反動が一気に爆発した。ほとんどのユダヤ人は貧しい商人であり、賤民として差別されて暮らしてきた。

アレクサンドル3世は、82年5月にユダヤ人の公職が制限され、ユダヤ人居留区以外での土地の取得、管理が禁止され、モスクワなどの都市からユダヤ人が追放された。この動きは近隣国にも広がり、90年代末までに100万人が難民となった。このポグロムをアメリカ大統領が非難したことで、ロシアユダヤ人がアメリカをめざすことになる。

アメリカに移民したユダヤ人は大都市に貧民として住み着いた。ところが、アメリカ経済は上昇気流にあり、特に不動産が高騰した。ユダヤ人は持ち前の金銭感覚で、不動産に投資して、中流階級の道をたどっていく。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。