1880年皇帝アレクサンドル2世の即位25周年の祝賀行事が各地で行われた。その中で在位中の事件を人間を使って絵画のように表現する「活人画」のイベントがあり、そこで使われる音楽として作曲したのがボロディンの「中央アジアの草原にて」である。ボロディンは、ロシアが支配するグルジアの出身。
ボロディンは、サンクトペテルブルク大学医学部の教授である。そのかたわら作曲を行って「イーゴリ公」というオペラまで書いている。そしてムソルグスキーやリムスキー・コルサコフなどとロシアの伝統音楽をとりいれた特徴ある音楽を作った。その中ではイスラム風の音楽も使っている。
グルジアは正教国であり、アレクサンドル2世の起こしたコーカサス戦争にも動員された。過去グルジアはペルシャやオスマンから侵攻を受けており、ロシアの保護を願った。コーカサス征服にも彼らは喜んで従軍したという。ボロディンの故郷もオスマンの支配を受けていた。
「中央アジアの草原にて」は、まずロシア風の音楽が演奏され、そしてアジアの音楽となっていく。ロシア兵の監督のもとでキャラバンの隊商が守られてゆっくりと進んでいく姿が表現されている。当時のロシアの考える帝国的ユートピア像が見てとれる。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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